ムアンシンの町から7~8キロ、徒歩で一時間ほどかかる人里離れた田園風景の広がる場所。
村の子供たちが案内してくれるその場所へ、僕らはわいわいと騒ぎながら真っ直ぐに延びた一本道を歩いてゆく。
道沿いにはところどころアカ族を中心とした村々が点在していて、藁葺き屋根で高床式の住居と周囲の風景が見事にマッチしていて、なんともいえず穏やかな雰囲気をかもしだしている。
途中、数本の細い丸太で作られた橋を渡っていく。
下はすぐ川。
それほど頑強でもなく、ひどく揺れるので一人ずつ慎重に・・。
しばらく進むと、目の前に一面緑の素晴らしい光景が現れる。
ここが彼女たちにとっての「とっておきの場所」。
晴れた日、風がそよぎ、辺り一面緑に覆われた大地、太陽に照らされて葉陰がちらちらと揺れている。
周辺には民家があるわけでもなく、聞こえてくるのはたまに吹く風に揺られる草の音と虫の声だけ。
外に出てゆっくり目を閉じると、空気の存在さえ感じとれる気がした。
先にきていたお母さんや他の子供たちと一緒に藁葺き小屋の中で団欒、しばし休憩をする。外は暑いけれど、小屋の中まではその暑さが伝わってこない。竹で編んだ壁の隙間から入り込んでくる風が妙に心地よいのだ。。
あまりに気持ちがいいから、昼寝をしよう。
レムとラムと一緒に布団でごろごろ。
写真撮るっていうから3人でダブルピース!!
ほんとに気持ちがいいのだ。
猫だって大の字になってぐーすか寝てる・・。
昼食の時間。ロとオンとジャが僕らをもてなすために料理を振舞ってくれた。
ここには火をおこしたり、調理用の鍋や食器もあるのだ。
引き続きごろごろしながら出来上がりを待つ。
数分後、カオニャオと炒め野菜、スープなどあったかくてほかほかの食事が出来上がる。
皆で食卓を囲んでわいわい食べる食事ってのは最高に美味い。。
小屋の裏手の川にはいつのまにか村のちびっ子たちがやってきていて、キャーキャーとはしゃいでいた。日差しの強い午後にはぴったりの水遊び。一緒になって遊ぶ。水を掛け合ったり、もぐりっこ競争したり、時々投げ飛ばしたり。。
雨なんか振ってないのに、日傘のつもり?おしゃれのつもり?
さんざん遊んであっという間に時間が過ぎていった。
そろそろ帰ろうかって、小屋をあとにし、また元きた一本道を歩き始める。
途中、遠くの空から大きな雨雲がわいてくるのが見えた。
と、その数分後、スコールのような土砂降り。
急いで逃げるようにして僕らは近くの売店に駆け込む。
しばしの雨宿り。
お菓子を買ってみんなで分け合ったり、意味もなくからかい合ったりしながら時間をやり過ごす。
30分ほどでなんとか雨が止んだ。
雨のおかげで少し和らいだ日差しの中、僕らは再び町へと向けて帰ってゆく。
この日一日、彼女達の日常に溶け込んでいる時間と、特別な場所につれてきてくれたということが何よりも嬉しかった。
彼女たちにとっての「とっておきの場所」は、
僕にとっても『とっておきの場所』だった。
いつまでもこの場所が残っていてくれたら、と思う。
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