ノンボア村のエ(ク)。。
村で皆に写真を配っていた時、一人の女の子が僕の名前を覚えていて、「私の写真もちょうだい」と言ってきた。「この子の写真なんて撮ってないよ・・しかも会ったことないよこの子・・」って思ってた。その子はアルバムに差し込んであった写真をパラパラめくると、一枚の写真を抜き取った。それがエ(ク)の写真だった時、僕は初めて、今、目の前にいる子がエ(ク)本人だということに気がついたのだ。
彼女は見違えるほど綺麗になっていた。
初めて会った時と二度目のムアンシンで、まるで別人だった。
正直、最初はエ(ク)のことを思い出すとき、失礼だが「あぁ・・あの太った子ね」という記憶しかなかったのだから。さらにルアンパバーンのナイトマーケットで仲良くしていたあるおばちゃんの娘がエ(ク)だったと知って驚き、妙に親近感がわいて、その時から友達になったのだった。
もうだいぶ年になってきたおばちゃん(お母さん)に変わって、最近ではエ(ク)がルアンパバーンのナイトマーケットやさらにはビエンチャンでタイダムの織物を売るため、出張に出るようになった。タイダムでは親子やあるいは姉妹である程度の時期になると、売りに出る者の世代交代をする。前はお母さんがしていたことを、お姉ちゃんがし、お姉ちゃんがしていたことを、いつからか妹が引き継ぐようになる。エ(ク)のお母さんは「日本のおばあちゃん」という感じで優しい。いつかそんなお母さんのように優しく、タイダムの巻き髪がよく似合う大人になってほしい。